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自立支援介護の“4つの基本ケア”について

今回は、私たち『リハプライド』の顧問であり、
日本自立支援介護・パワーリハ学会理事長でもある
竹内孝仁教授(国際医療福祉大学大学院・医学博士)が提唱する、
自立支援介護の"4つの基本ケア"をご紹介したいと思います。

“自立支援介護”とは

自立支援介護とは、
『その人の「身体的自立」「精神的自立」「社会的自立」を達成し、
改善また維持できるよう、介護という方法によって支援していくこと』
をいいます。

この自立支援介護には“4つの基本ケア”があります。
それは、①水分、②栄養(食事)、③運動、④排便(排泄)です。

この4つは互いに関連し合っており、
人間が健康であるための基本原則ともいえます。
また、この“4つの基本ケア”は、認知症ケアにも共通しています。

4つの基本ケア ― ①水分

まず、①水分です。
水分が不足すると身体の活動性は落ち、意識(脳)の覚醒水準も下がります。
意識の覚醒水準が下がると、認知症の症状が出たり、
尿意・便意を感じられなくなって、失禁が起こります。
そのため高齢者は水分摂取を小まめに行い、身体の細胞を活性化させ、
身体と意識の覚醒水準を上げることが大切になります。

体内の1日の水分排出量は、
尿・呼気や皮膚・便から約2400~2800ml。
一方、水分摂取量は、
食事と細胞による生成で発生する約900~1300ml。
そのため、その不足分となる1500ml以上は、
“水分を飲む”ことで補給する必要があり、
「1日の水分摂取量:1500ml以上」の理由はここにあります。
もちろんコップ7~8杯に分けて飲めばよいですし、
アルコール以外ならコーヒー、ジュース、牛乳、お茶などでもOKです。

4つの基本ケア ― ②栄養(食事)

②栄養(食事)ですが、
低栄養は寝たきりと認知症を引き起こす要因といわれます。
栄養摂取が十分でないと、動くエネルギーと体力がなくなり、
運動ができなくなります。
運動量が少なくなると、筋肉が減り、関節が退化して、
廃用症候群から寝たきりになる危険性が高まるのです。

また、噛まない食事は、咀嚼(そしゃく)による刺激が起こらないので、
口腔機能を低下させ、嚥下機能障害や誤嚥性肺炎につながります。
これらの予防・改善のためにも、
「噛める食事で、1日:1500kcal以上」の栄養を摂るようにします。

4つの基本ケア ― ③運動

③運動について、
特に“歩行”は全身の筋肉の活動を必要とします。
また歩くことが脳を刺激し、意識の覚醒水準を上げて認知力を高めるため、
認知症の症状の改善に効果があります。
さらに意識の覚醒水準が上がると、便意、排泄の抑制ができ、
日中および夜間の失禁をなくして、睡眠の質を向上させます。

「歩行の目安は1日:2km以上」。
時間にして約20~30分くらいです。
歩き方に決まりはありません。
ご自分の歩きやすいように歩いてください。
途中で休んでも構いません。

合わせて、私たち『リハプライド』の
《パワーリハビリテーション(以下、パワーリハビリ)》を活用すると、
認知力の回復が図れます。
筋肉が収縮するパワーリハビリを行うことで、
認知症の人に不足しているとされる脳の神経伝達物質アセチルコリンが、
安静時の10万倍も分泌されることが分かっているからです。

4つの基本ケア ― ④排便(排泄)

④排便(排泄)については、
排便がきちんと行われて腸の状態が良好になると、
認知症の症状が無くなっていきます。
これは、腸で気分を落ち着かせる働きを持つ、
神経伝達物質セロトニンの産生力が向上していくことも
関係していると考えられます。

十分な水分が摂れて、意識の覚醒水準が上がると、
大脳の前頭葉が便意を感じるようになり、
排便をコントロールすることができるようになります。
下剤は使わず、十分な水分摂取と適度な運動により、
「3日に1回以上の自然排便」を目指します。

今後とも、私たち『リハプライド』は、
自立支援介護とパワーリハビリの普及に邁進し、
ご利用者さまの機能回復と改善に一生懸命取り組んでまいります。

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