さて、これまでも、水分摂取の大切さをお伝えしてきましたし、
日本自立支援介護・パワーリハ学会理事長であり、
弊社顧問でもある竹内孝仁先生(国際医療福祉大学大学院教授)も、
常々その重要性をお話しされております。
そして、今現在、医学の最先端では、どういう研究が行われているのかということについて、
NHKスペシャル『シリーズ 人体』で"腎臓"が取り上げられていました。
その内容は、今まで私たちが「水分摂取は大切なんですよ」とお伝えしていたことを
裏付けるものになっていましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
スポーツ選手が“高地トレーニング”をする際、よく「心肺機能を鍛える」という言い方をします。
しかし、この時に鍛えられるのは、酸素を送り出す心臓でも、酸素を取り込む肺でもありません。
実は、高地トレーニングで本当に鍛えられるのは“腎臓”なのです。
人間の血液の中の酸素濃度を決めているのは腎臓です。
酸素の薄い高地で運動をして、体内に酸素が足りなくなると、それを腎臓が察知します。
そして、腎臓はEPO(エポ=エリスロポエチン)という“メッセージ物質”を放出します。
EPOは、「酸素がほしい」という腎臓からのメッセージを血液の流れに乗って全身に伝え、
このEPOが骨髄に届くと、赤血球が増産され、血中の酸素濃度が高まるのです。
血圧のコントロールも、腎臓の中のEPOである“レニン”という物質が関わっており、
このように、近年、「人間の血液のさまざまな化学物質の濃度は、腎臓が担っている」
ということが分かってきました。
例えば、肉や豆類に含まれるリンは、人体に必要なミネラルの一種ですけど、
血液中のリンが少ないほど長生きすることが分かっています。
しかし、このリンが不足すると、呼吸不全、心不全、骨軟化症、くる病などを発症し、
逆に多過ぎれば老化が加速してしまいます。
ですので、リンの量を適正に保たねばならないわけですが、この調整を担っているのも腎臓です。
つまり、リンの濃度が高いと老化が一気に加速しますので、
腎臓の働きが寿命に大きく影響を与えるというわけです。
また、高齢者の身体機能が低下して、寝たきりになった場合、
最終的に多臓器不全で亡くなるというケースが多いのですけど、
この「多臓器不全が起こる引き金も腎臓にある」ということが分かってきました。
例えば、心不全の場合、血流が減少すると腎臓の血流も悪くなり、腎細胞がダメージを受けます。
体のどこかが悪くなれば、結局、最終的に腎臓がダメージを受け、
腎臓が働かなくなると有害物質が水分と共に排出されず、
血中のさまざまな物質の濃度のコントロールもできなくなって、
結果的に多臓器不全になってしまいます。
このように、さまざまな臓器は腎臓を中心として調和が取れていますので、
それぞれの臓器が弱ってくると、それに連関して腎臓も弱っていきます。
このことを、心臓と腎臓が連関しているという意味で“心腎連関”、
あるいは肝臓と腎臓が連関しているという“肝腎連関”、
同じように“肺・脳・腸・骨腎連関”といって、
これらは、今、医学の世界でも重要なキーワードとなっています。
さらに、他の病気で入院して、いろいろな薬を飲むと、
血液の中にその薬の成分が流れ込み、弱った腎臓への最後の一撃となって、
「腎臓そのものが障害を受け、機能が低下する(急性腎障害)」
ということも明らかになってきました。
従いまして、高齢者は余分な薬を飲まない方がいいということで、
イギリス南部のワージング病院などでは、
全ての入院患者の腎臓をリアルタイムで観察して、腎臓の調子が悪くなったらすぐに投薬を止め、
腎臓の機能低下による多臓器不全を防ぐシステムを導入しています。
日本でも京都大学などで腎臓内科医が、
全ての患者の腎臓の状態と薬の量を管理していこう、という動きが起こっています。
私たち『リハプライド』では、
日頃よりご利用者さまに「水分をしっかり摂取しましょう」とお声掛けしておりますが、
今回お伝えしました通り、現代医学の最先端でも、
腎臓の今まで知られていなかった機能とその重要性が明らかになり、
“腎臓が血液の成分を調節するために、水分摂取は必要不可欠である”ことも、
学術的に裏付けられてきた状況となっているのです。