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リハプライド・コラム

その症状は、水分不足から来ているのかもしれません。

いよいよ暑い日が増えてきました。
今回は、そんな暑い日には特に大切な水分摂取の大切さについて、
お知らせしたいと思います。
以前にもお伝えしたことがあったかもしれませんが、
リハプライドでは、ご利用者さまに水分摂取を強くお勧めしています。
それは単に夏場の脱水・熱中症の予防というだけでなく、
水分摂取がご利用者さまのケアの大切な基本になると考えているからです。

体温調節のための水分、不感蒸泄

そもそも人間は、生きていくのにどれだけの水分が必要だと思いますか?
高齢者の場合、体重の50%程度が水分と言われており、
例えば、体重が50kgの方であれば、25kgが水分でできているということになります。
この水分は、常に循環しています。
例えば、人間は体温調節のために知らず知らずのうちに、
汗や呼気で体内の水分を失っています。
これを「不感蒸泄」と言い、室温28度以下で発汗を感じない平熱の状態で、
15ml/kg/日といわれ、体重50kgの方であれば750mlということになります。

この不感蒸泄が不足すると、発汗不足による欝熱で体温が上がり、
体温38度で熱痙攣となり、体温40度以上になると多臓器不全等に進展、熱射病となります。
ですから、人間は生きて体温を維持するためだけに、
少なくとも700~1000mlの水分を汗や呼気として排出する必要があります。

排尿のための水分も重要

また、尿の排出も非常に重要です。
人間は生きているだけで代謝によってエネルギーを生み出しており、
その際には必ず老廃物ができますから、
身体の老廃物を尿として効率良く排出するためにも、十分な水分が必要です。

一般的に、1回の尿量の平均量は200ml~400ml、
1日の排尿回数は4回~8回程度と言われており、
健康な成人では1日あたり1500ml前後の尿量が正常と言われています。
腎臓の機能は30歳ごろをピークにして徐々に低下し、
70代では若年者の60〜70%になります。
また、尿細管機能(濃縮したり希釈したりする能力)も加齢によって徐々に低下し、
調節可能域が狭くなります。
高齢となり腎機能が低下してくると、
尿毒素を濃縮して排泄することが困難になるため希釈尿となり、
尿毒素の排泄のためには、摂取水分量を多くして尿量を増量し、
機能を維持しなければならなくなります。

ですから、高齢者は老廃物を十分に排出するために、
若年者よりも多くの水分を摂らなければならないのです。
しかし、高齢者の多くは、十分な水分摂取を行っていません。
 
尿量が十分でないと、「身体が疲れやすくなる」「だるくなる」などの症状が見られ、
食欲が低下します。
ナトリウム等を十分に排出できないため、
ナトリウム等の蓄積が体内の水分の増加をもたらし、
高血圧や浮腫になりやすくなります。
高齢者には浮腫の症状が多く見られますが、
それは水分摂取不足から来ている可能性もあるのです。

また、尿量が十分でない場合、カリウムが増加し不整脈の原因となり、
カルシウムやリンの増加は骨の代謝異常を起こし、
骨折、骨格の変形、骨・関節の痛みの原因にもなります。
さらには、腎臓で作られる造血ホルモンが不足し、貧血にもなります。
免疫不全となり、病気に感染しやすくなり、
またワクチンなどによる免疫獲得率も弱くなります。
インスリン分解能低下が起こって高インスリン血症となる場合もありますし、
脂質代謝異常で中性脂肪が高値となることもあります。

水分不足は、精神状態や感情、気分にも影響を及ぼす?

水分不足は、うつ状態あるいはうつ病に関係してくる、ということも言われています。
それは、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、トリプトファン、
必須アミノ酸の生成と新陳代謝に影響するからです。
もちろん、軽いうつ状態から重いうつ病まで、
すべて水分不足によるものだと単純に言い切るわけにはいきません。
しかし、脳細胞で考えても身体全体で考えても、その大部分が水なのです。
従って十分に水分補給をしなければ、身体に重大な影響を及ぼすだけでなく、
精神状態や感情、気分にも重大な影響を及ぼす可能性が高いのです。
また水分不足は、脳内でエネルギーが生成されるのを妨げることも知られています。
恐怖感や心配不安感などのストレスや情緒障害などが、
脳細胞内の水分不足の結果として起こることもあります。
 
私たちを指導してくださっている国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授は、
十分な水分摂取を行うだけで、
認知症の方の7割はその症状が消失し「治る」とおっしゃっており、
全国の自治体等で行っている『認知症あんしん生活実践塾』というワークショップでは、
すでに100名以上の方が、実際に認知症を治しています。
水分不足は、高血圧、浮腫、骨の異常、貧血、うつ病、
恐怖感や心配不安感などの情緒障害を引き起こします。
多くの方が「認知症の症状」「治らない症状」と考えている高齢者の症状の7割は、
水分不足を原因としている可能性が高いのです。

人間が1日に摂取しなければならない水分量

体内水分のバランスは、水分の摂取量と排出量が同じであることで保たれます。
ただし、体内には細胞がエネルギー代謝を行う際に、
酸素と栄養が結びつくことでエネルギーを生み出していますが、
その際、水と二酸化炭素が生じています。
これを代謝水と言いますが、この代謝水があるので、
人間が1日に摂取しなければならない水分量は、

尿量 + 便 + 不感蒸泄 - 代謝水

によって求めることができます。
このように計算していくと、人間は1日あたり、
ごはんに含まれる水分を含むと2200~2600mlの水分が必要ということが分かります。
ごはんにも水分は含まれているため、ごはんの水分を差し引いた、
純粋に飲料水で補給しなければならない水分量は、1500ml以上ということになります。

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