改善事例

82歳/男性・要介護2 脳血管疾患

わずか3カ月で、歩行バランスと歩行スピードが向上した!

●要介護の原因
脳梗塞、糖尿病、レビー小体型認知症


●通所回数
週2回利用(リハプライド)
※週1回、他のデイサービスを利用


●個別機能訓練
イスに座って、つま先・かかと上げ、足指広げ、足首回し


●この改善事例のポイント

  • 体力的に6台のマシンを全て行えなくても、週2回、意欲的かつ真剣にトレーニングすれば、機能が回復することを学んだ。
  • 周りからの温かい声掛けが、よりトレーニングの姿勢を前向きにさせ、その姿に他のご利用者さまも影響されるという"行動変容の相乗効果"が見られた。

●通所する前は・・・
要介護2の認定を受け、デイサービスの利用を検討し始める。ご本人の希望は「毎日お風呂に入りたい」「しっかりと歩けるようになって、また散歩に行きたい」というもので、ご家族は「支えがなくても、一人で歩けるようになってほしい」「イスから安定して立ち上がれるようになれば...」という意向をお持ちだった。外出機会がほぼ無くなり、奥さま以外の方との会話も無い状況だったので、『リハプライド』で他のご利用者さまとコミュニケーションを取りながら、杖を使って安全に歩けるよう、歩行バランスと持久力の向上を目指し、パワーリハビリにしっかり取り組んでいくこととなった。

●課題およびケアプラン

・水分摂取量の増加 ⇒ 1日1500mlのコンスタントな水分摂取を行う。好きな飲み物を、奥さまにも聴聞し、家庭でのバックアップ要請を行う。
・活動量の増加 ⇒ 『リハプライド』への定期的な通所による運動機会の増加。奥さま以外の方との交流に楽しみを見出し、行動変容を促す。
・屋内歩行移動 ⇒ 自宅での活動量増加と、『リハプライド』での施設内移動においては、特に右足の上り具合や、歩行バランスに注意して移動を行う。
・屋外歩行移動 ⇒ 奥さまの協力を仰ぎ、自宅周辺から短い距離で定期的に散歩を実施する。
・排泄(排便・排尿)  ⇒ 自宅と『リハプライド』で、ズボンの上げ下げ等を安全に行えるよう見守りながら、反復練習する。


●体力測定の変化

平成30年12月17日
(アセスメント時)
平成31年3月18日
(約3カ月後)
Timed UP & GO 53.37秒(杖あり) 21.22秒(杖あり)
開眼片足立ち 左:10.00秒/右:14.84秒
 (測定時は左手で平行棒をつかみ実施)
左:53.62秒/右:32.66秒
 (測定時は左手で平行棒をつかみ実施)
握力 右:拘縮のため、測定できず。
左::15.5?
右:拘縮のため、測定できず。
左:16.4?
ファンクショナルリーチ 実施できず。 実施できず。
長座位体前屈 21cm 25cm
30秒間足踏み 9回 30回
水分摂取量の変化 150ml(デイ利用時) 300ml(デイ利用時)
利用時の変化 通所開始時は、緊張のためか笑顔がなく、スタッフの話し掛けに答えるのみ。周囲の方への能動的な話し掛けは無し。 スタッフの話しかけに、にこやかに応じる。マシントレーニングのインターバル中も、周りのご利用者さまとにこやかに話をしている。積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が見られる。
生活状況等の変化 右上肢に拘縮あり。手首と肘が90度に曲がった状態。「右足の上がりも、左足に比べると上げづらい」という本人の感想を伺う。 右上肢の拘縮は変わらない。右足の上げづらさが解消されているのか、歩行は安定していると認められ、歩行バランスと歩行スピードは明らかに向上していると思われる。


●考察

・ご利用者さまは、お休みなく週2回しっかりと通所され、意欲的かつ真剣にトレーニングされている。
・通所開始時、ケアマネジャーさまから歩行時の転倒リスクの説明を受けていたが、通所開始4カ月目ごろには、車の昇降時の動作が驚くほど速やかになった。
・杖を利用した歩行では、バランスが向上したため体のふらつきもなく、足がスムーズに前へ出ており、歩行スピードも上がっている。
・パワーリハビリに取り組む意欲の高さが、機能の回復につながっていると考える。
・課題としては、水分摂取量増加による代謝向上と、歩行機会を増やすことによる歩行運動量の増加が挙げられる。
・『リハプライド』利用時の水分補給は、直近の平均が300mlと少ないため、今後は奥さまにもご協力いただき、1日の水分摂取量の把握と1日最低1500mlの水分摂取を行う。
・ご本人は「気楽に外出したい」という希望をお持ちのため、歩行バランスと持久力向上をサポートしながら、1日:2kmの歩行運動実施を目指していく。
・持久力の問題(上肢・下肢の疲れ等)から6台のマシンを全て行えないことも多い。まずは無理をしないで、6台を実施できるように取り組んでいきたい。
・マシントレーニングのインターバルの際に、笑顔が目立つようになって、周りのご利用者さまに話しかけるなど、積極的な行動が目立つようになった。
・態度の変化を感じ取った他のご利用者さまから、このご利用者さまに声を掛ける姿がよく見られるようになり、周りからの温かい声掛けが、トレーニングの姿勢をより前向きにさせ、ご本人や周りのご利用者さまも巻き込んだ"行動変容の相乗効果"が起こっていると思われる。
・パワーリハビリを実施する上で、しっかりとメニューを提供することによる成果については、"行う側(スタッフ)の取り組み姿勢"で差が出てくるのではないかと思った。
・今後は、ご本人さまの外出と入浴の要望に応えられるよう、歩行能力と持久力の向上を目指し、水分摂取量の増加・定期的な散歩の実施に、ご家族と連携しながら取り組んで、パワーリハビリと自立支援介護の4つの基本ケアを念頭に置いたサポートを提供していきたい。

(リハプライド 門前仲町)