改善事例

67歳/女性・要介護2 重度の関節疾患・骨折

車イス生活から、約1年3カ月後には、歩行器生活に変わった!

●要介護の原因
糖尿病、骨粗鬆症、右大腿骨頸部骨折


●通所回数
週2回利用(リハプライド)
※週3回、他の1日型デイサービスを利用


●個別機能訓練
★目標:自力歩行でのトイレ移動
    ⇒イスからの立ち上がり訓練、事業所内歩行訓練、
     ゴムボールによる下肢筋力強化訓練


●この改善事例のポイント

  • パワーリハビリと歩行器による歩行訓練が、顕著な改善につながったと考える。
  • 1日の水分摂取量が2000mlを超えてから、下剤の使用が減り、自然排便が可能となった。

●通所する前は・・・
ご利用者さまはご長男と二人暮らしで、ご長男は介護をしながら平日のみ勤務され、デイ利用時は出勤前にご本人を玄関まで誘導するなど、とても協力的である。
ご利用者さまは、平成25年12月に右大腿骨頸部骨折で手術を受けている。また膀胱留置カテーテルを使用しており、交換時にはご長男が近所の内科医院まで、車イスを押して通院している。ご利用者さまには「コンサートへ行きたい」という目標があり、「リハビリができるデイサービスを紹介してほしい」とケアマネジャーに相談されたことで、リハプライドに通所することとなった。

●課題およびケアプラン

・水分摂取量の増加 ⇒ 自宅で1日:2000ml、デイ利用時は2400mlの摂取を目標とする。
・摂取カロリーの増加 ⇒ 現在は1日1200?1300kcalだが、1500kcalを目標とする。
・屋内歩行量の増加 ⇒ 1日型デイとも連絡を取り、現在の1日100m程度を150mまで増やす。
・屋外歩行の実施 ⇒ ご長男に協力を仰ぎ、見守りでの屋外歩行を実現する。
・便秘の解消 ⇒ 下剤の服用を中止し、自然排便になるよう水分摂取量を増やす。
腹部マッサージなども行い、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促す。 


●体力測定の変化

平成30年1月18日
(通所開始時)
平成31年4月4日
(約1年3カ月後)
Timed UP & GO 車イスのため測定不可 40.2秒
(ピックアップ型歩行器使用)
開眼片足立ち 車イスのため測定不可 1分30秒以上(歩行器使用)
握力 右:18.2? 左:13.7? 右:20.3? 左:14.6?
ファンクショナルリーチ 33.5cm(座位) 33.5cm(立位)
長座位体前屈 18.5cm 15.5cm
30秒間足踏み 車イスのため測定不可 20回
水分摂取量の変化 1400?1900ml 2,000?2,500ml
利用時の変化 あまり会話されることなく無気力。服装も部屋着でお越しになり、髪もボサボサ等、人の目を気にすることなく無頓着。 スタッフやご利用者さまとの会話がとても多くなり、笑い声も聞こえるようになった。表情もいつもニコニコとされ、別人のようになった。
生活状況等の変化 カテーテルのため尿意はないが、便意はある。自宅では車イス・歩行器のスペースがないので、トイレまでお尻で這って行っていた。 移動は、すべて小型のピックアップ型歩行器で行っている。現在は自宅環境を整備して、自宅内での使用を目指している。


●考察

・通所開始時は、歩くことを諦めていたご利用者さまだったが、パワーリハビリと歩行訓練、水分摂取量増加の成果が顕著に表れた改善事例となった。

【歩行について】
・通所開始後3カ月で立位保持が可能になり、キャスター付き歩行器での移動ができたことで、より改善のスピードが上がった。平成31年1月のアセスメントの後、ピックアップ式歩行器へ移行し、さらに改善した。パワーリハビリに加え、適切な器具を選択してリハビリを行うことが、歩行の改善に効果があると考えられる。
・足の上がり方、歩行状態も改善され、転倒なく室内移動ができるようになった。

【水分摂取について】
・水分摂取量増加に関しては、ご家族にご理解ご協力いただけたことが大きい。効果を実感することで、ご本人もより積極的に水分を摂るようになった。
・水分摂取量増加は、ご家族や他の介護サービスとの連携が取れることで、格段にUPすることが分かった。
・2000mlを超えてからは、下剤の使用が減り、自然排便が可能となった。
・ご自宅での水分摂取量が、デイ利用時と比べ少なくなりがちなので、今後はご自宅でも摂取できるよう取り組むとともに、減薬を実現したい。

【通所について】
・通所開始時は、口数が少なく言葉も聞き取りにくかったが、身体的改善によって精神的にも前向きになり、よく話し、よく笑うようになった。
・可愛いトレーナーを着たり、髪型を頻繁に変えてくるなどの"行動変容"が見られた。
・毎週休まずにご利用いただくことが大切である。やむを得ない休みでも、ご利用者さまのために振り替えを勧めるなど、事業所側の意識を高める必要がある。


(リハプライド 長野)