改善事例

58歳/女性・要介護1 その他

3カ月で、車イスから杖歩行が可能になった!

●要介護の原因
統合失調症、後縦靭帯骨化症、高血圧


●通所回数
週3回利用(リハプライドのみ)


●個別機能訓練
・U字型歩行器または4点杖使用での歩行訓練。
 ⇒ご利用時に車イスの使用を中止。
  フロア内移動はすべてU字型歩行器を使用。
・段差昇降練習(12?・15?・30?)


●この改善事例のポイント

  • 「3カ月で歩けるようになる!」という明確な目標を達成するために、パワーリハビリと個別機能訓練を積極的に実施した。
  • 「歩けるようになりたい!」というご本人の強い思いと、「絶対歩けるようになってもらう!」というスタッフの思いが合致した事例となった。

●通所する前は・・・
29歳で統合失調症を発症。その後、何度か入退院を繰り返す。平成24年に後縦靭帯骨化症で手術を受け、3週間ほど入院する。平成28年には交通事故に遭い、胸骨・右股関節・胸椎を骨折。病院でリハビリを受けるも、痛みが継続し活動量が低下。平成29年には右股関節炎を発症し、人工骨頭置換術を受けて、さらに活動量が低下する。交通事故の手術後も病院でリハビリを継続してきたが、痛みは続き、体の動きにくさも感じるようになって、車イス生活を送る。その後、外科病院にて電気治療等のリハビリを受けたものの、一向に良くならず、担当ケアマネジャーの勧めで『リハプライド』を見学。金銭面の問題もあり、3カ月での卒業を希望され、週3回で利用を開始する。              

●課題(歩行器および4点杖での歩行)

・水分量の維持?増量 ⇒ 1日:2000mlの摂取を目標とする。
・バランスの取れた食事 ⇒ 常食1日1800?2000kcalの食事内容を維持しながら、食物繊維が豊富な食物を摂り入れる。
・4点杖での歩行 ⇒ 車イスを利用せず、移動は全て4点杖を使用。各マシン終了ごとに、20mの歩行訓練を実施。12cm・15cm・30cmの段差昇降訓練も実施する。
・統合失調症状の安定 ⇒ "自立支援介護の4つの基本ケア"の継続。症状に応じた適切な薬物療法が行えるよう、本人および主治医との連携を図る。


●パワーリハビリ実施状況

ローイング 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
レッグプレス 7.5? 1セット → 10.0? 3セット
チェストプレス 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
ヒップアブダクション 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
トーソフレクション 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
レッグエクステンション 2.5? 1セット → 3.5? 3セット


●体力測定の変化

平成30年12月3日
(通所開始時)
平成31年4月23日
(約1年後)
Timed UP & GO 車イスのため測定不可 59.0秒(4点杖使用)
開眼片足立ち 8.0秒(支えあり) 13.0秒(支えあり)
握力 右:13.4? 左:6.9? 右:6.6? 左:6.9?
ファンクショナルリーチ 13.5cm 14.5cm
長座位体前屈 測定不可 測定不可
30秒間足踏み 26回(支えあり) 28回(支えあり)
水分摂取量の変化 1600ml(在宅時) 2000ml(在宅時)
3000ml(デイ利用時)
利用時の変化 感情の起伏が激しく、表情も硬い。気に入らないことや納得のいかないことがあると、所構わず大声で怒鳴りつけることが多い。 表情が柔らかくなり、笑顔も増えた。他のご利用者さまとも和やかにお話をされている。職員に対して、感謝の気持ちをよく伝えるようになった。
生活状況等の変化 屋内外ともに車イスを利用。
自宅内で週に1回程度は転倒あり。
屋内外ともに車イスを利用中だが、屋内では4点杖での移動が可能となる。自宅内の転倒は月1回程度と減少。介護ベッドの利用を中止。


●考察

・「3カ月間だけ通って、歩けるようになったら卒業する!」という目標の通り、3カ月後には4点杖での歩行が可能となった。
・「何としても旅行に行く!」という明確な目標を掲げ、その目標を達成するためにパワーリハビリと個別機能訓練を積極的に行った。
・立位の保持ができる状態だったことから、U字型歩行器を使用した歩行訓練を実施。利用3カ月後には、送迎時から利用時まで4点杖に移行することで、歩行の改善につながったと考えられる。
・屋内外とも車イスを利用していたが、自宅がバリアフリー仕様なので、自宅でも4点杖での移動が可能となった。
・自宅での水分摂取量は1600ml⇒1800ml⇒2000mlと順調に増加。デイ利用時は2000ml以上を必ず摂取できている。
・水分量増加には、水分の必要性を説明した上で、起床時に牛乳や野菜ジュースを取り入れ、デイ利用時には寒天ゼリーを摂取するなど種類を増やした。本人が実行しやすいよう、水分ケアプランを一緒に立案したことも効果的であったと考える。
・感情の起伏が激しく、対応に戸惑うことも多かったが、利用を続けるにつれて笑顔が増え、感謝の言葉をよく口にするようになった。
・ご本人の「歩けるようになりたい!」という強い思いと、「絶対歩けるようになってもらう!」というスタッフの思いが合致した事例となった。
・「歩けることがうれしい!」と笑顔で話されるご利用者さまを見るにつけ、"歩ける"ということがどれだけ大きい意味をもつことなのか再認識できた。

「いつまでも歩き続けたい!」というのは、全てのご利用者さま共通の思いであるが、さまざまな理由により叶えられないことが多い。パワーリハビリはもちろん"自立支援介護の4つの基本ケア"を実践し、思いを当たり前に叶えることができる事業所になれるよう、今後もチームワークを大切にしながら職員全員で取り組んでいきたいと思う。

(リハプライド 彦根)