改善事例
約6カ月で、杖歩行から、杖なしの自立歩行ができた!
●通所回数
週2回利用
●要介護の原因
脳梗塞、糖尿病、痛風、高血圧
●この改善事例のポイント
- パワーリハビリテーションと"自立支援介護の4つの基本ケア"の実践により、約6カ月で杖歩行から杖なしの自立歩行になった!
- 課題を設定して、その課題に対するケアプランを作成し、ご家族のご協力のもと実践した。
●通所する前は・・・
平成29年2月に、脳梗塞で入院。その後、平成30年1月に当事業所の利用を開始する。通所のきっかけは、以前よりご利用者さまのケアマネジャーが『リハプライド』を懇意にしてくださっており、当事業所をご紹介いただいた。ケアマネジャーおよびご家族の意向は、「ほとんど家の中に引きこもっていて、認知症が進んでおり、表情もなくなってきたので、運動やコミュニケーションの場として利用したい」ということだった。
●各項目の課題とケアプラン
項目 | 課題 | ケアプラン |
水分量 | 水分量の増加 | 目標:1日1500cc。現在の水分摂取に加えて、起床時に水200cc、毎食時にお茶200cc、随時、麦茶やコーヒーなど計700ccを飲むようにする。 |
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食事 | 朝食を摂る習慣づけ | ご家族と話し、薬の件を絡め、朝食の必要性を話す。 |
活動量 | 家でも体を動かす | 準備体操の一部を家庭でも取り入れ、座ってできる体操を提案。できる家事を増やす。 |
生活リズム | 間食をやめる | 減量ができれば、さらに足が軽くなることを提案する。 |
屋内歩行移動 | 活動量の増加 | デイ利用のない日は、2往復で400mのマンションの通路を歩く。 |
屋外歩行移動 | 散歩の導入 | マンション階下の公園を散歩する。 |
排便 | 減薬 | マグネシウム錠の取りやめ(3日以上排便がない時のみ使用)。 |
排尿 | 問題なし | 歩行ができるようになれば、リハパンも必要なし。 |
血圧 | 血圧が高い(188/104) | 病院に行き、血圧を下げる薬をもらうようにする。 |
パワーリハビリテーション | 体幹を取り戻すこと 不活動筋の再活性化 |
週2回の利用により、全身のバランスを取り戻す。 |
認知症状 | 認知症状ではないと判断 | うつ病の薬を取りやめる。 |
認知症状確認 | 長谷川式認知症スケール | 20点。ケアマネジャーに依頼され実施する。 |
●全体の課題と実施方法
?減薬は可能か? (平成30年7月より開始) |
飲んでいる薬をお薬手帳やネットで確認。8種類飲んでいたが、担当医に相談し、そのうち2種類を減薬する。 |
?血圧のコントロールは? | 来所時の血圧は、188/104。 確認すると今まで血圧を下げる薬を飲んでいなかったので、担当医に相談し、血圧の薬を追加する。 |
?生活習慣の改善 (平成30年10月より開始) |
朝食を摂らず、間食が多くて、睡眠時間がまちまちだった。 →ご家族の協力を得て、朝食の習慣をつける。間食を控え、体を動かすことにより、寝つきを良くする。 |
?そもそも認知症なのか? | 本部で実施している【成長プロジェクト《自立支援介護 WEB勉強会》】で認知症を学んでいるが、どの認知症の症状にも当てはまらない。「認知症ではないのでは?」と考え、うつ病の薬を取りやめる。 |
●体力測定の変化
平成30年12月15日 | 平成31年3月16日 | |
Timed UP & GO | 21秒(杖あり) | 18秒(杖なし) |
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開眼片足立ち | 25秒(杖あり) | 20秒(杖あり) |
握力 | 右:21.6? 左:17.6? | 右:20.7? 左:18.6? |
ファンクショナルリーチ | 34.5? | 34.5? |
長座位体前屈 | 28? | 23.5? |
30秒間足踏み | 16回 | 18回 |
利用時の変化 | 左膝の痛みで、歩行が不安定 | 短距離なら杖なし歩行が可能になる。笑顔が増える。 |
生活状況等の変化 | 外出機会がない。 気持ちが荒い。 |
家事をするようになる。 気持ちに余裕がある。 |
●考察
週2回のパワーリハビリと"自立支援介護の4つの基本ケア(水分・栄養・運動・排便)"を、基本に忠実に実施したところ、約半年で杖歩行から杖なしの自立歩行ができるようになった。
このご利用さまは、通所開始時に「認知症である」と伺っていたのだが、当事業所はリハプライド本部で毎月実施している【成長プロジェクト《自立支援介護 WEB勉強会》】に参加しており、そこで学んでいる認知症のどの症状にも当てはまらなかった。
ついては、「短期記憶の欠落など、引きこもっていたことが原因で脳が衰えたのではないか」と判断し、医師と相談して、うつ病の服薬を取りやめた。すると、ほどなくして、表情も明るくなり、笑顔も増え、家では家事もするようになって、気持ちにも余裕が出てきた。この減薬が、パワーリハビリおよび"自立支援介護の4つの基本ケア"に相乗効果をもたらしたのではないかと考えている。
まだまだ勉強不足であるが、本部主催の竹内孝仁先生(国際医療福祉大学大学院教授)も参加される【地方研修会】や、上記の【成長プロジェクト】等で学んだことを実践し、経過を観察して、直すべきところは直していきながら、今後ともご利用者さまの機能維持と改善に、日々取り組んでいきたいと思っている。
(リハプライド 川崎)