改善事例

81歳/女性・要介護2 脳血管疾患

約6カ月で、杖歩行から、杖なしの自立歩行ができた!

●通所回数
週2回利用


●要介護の原因
脳梗塞、糖尿病、痛風、高血圧


●この改善事例のポイント

  • パワーリハビリテーションと"自立支援介護の4つの基本ケア"の実践により、約6カ月で杖歩行から杖なしの自立歩行になった!
  • 課題を設定して、その課題に対するケアプランを作成し、ご家族のご協力のもと実践した。

●通所する前は・・・
平成29年2月に、脳梗塞で入院。その後、平成30年1月に当事業所の利用を開始する。通所のきっかけは、以前よりご利用者さまのケアマネジャーが『リハプライド』を懇意にしてくださっており、当事業所をご紹介いただいた。ケアマネジャーおよびご家族の意向は、「ほとんど家の中に引きこもっていて、認知症が進んでおり、表情もなくなってきたので、運動やコミュニケーションの場として利用したい」ということだった。


●各項目の課題とケアプラン

項目 課題 ケアプラン
水分量 水分量の増加 目標:1日1500cc。現在の水分摂取に加えて、起床時に水200cc、毎食時にお茶200cc、随時、麦茶やコーヒーなど計700ccを飲むようにする。
食事 朝食を摂る習慣づけ ご家族と話し、薬の件を絡め、朝食の必要性を話す。
活動量 家でも体を動かす 準備体操の一部を家庭でも取り入れ、座ってできる体操を提案。できる家事を増やす。
生活リズム 間食をやめる 減量ができれば、さらに足が軽くなることを提案する。
屋内歩行移動 活動量の増加 デイ利用のない日は、2往復で400mのマンションの通路を歩く。
屋外歩行移動 散歩の導入 マンション階下の公園を散歩する。
排便 減薬 マグネシウム錠の取りやめ(3日以上排便がない時のみ使用)。
排尿 問題なし 歩行ができるようになれば、リハパンも必要なし。
血圧 血圧が高い(188/104) 病院に行き、血圧を下げる薬をもらうようにする。
パワーリハビリテーション 体幹を取り戻すこと
不活動筋の再活性化
週2回の利用により、全身のバランスを取り戻す。
認知症状 認知症状ではないと判断 うつ病の薬を取りやめる。
認知症状確認 長谷川式認知症スケール 20点。ケアマネジャーに依頼され実施する。
※上記各項目について、それぞれに課題を設定し、その課題に対するケアプランを作成した。


●全体の課題と実施方法

?減薬は可能か?
  (平成30年7月より開始)
飲んでいる薬をお薬手帳やネットで確認。8種類飲んでいたが、担当医に相談し、そのうち2種類を減薬する。
?血圧のコントロールは? 来所時の血圧は、188/104。 確認すると今まで血圧を下げる薬を飲んでいなかったので、担当医に相談し、血圧の薬を追加する。 
?生活習慣の改善
(平成30年10月より開始)
朝食を摂らず、間食が多くて、睡眠時間がまちまちだった。
→ご家族の協力を得て、朝食の習慣をつける。間食を控え、体を動かすことにより、寝つきを良くする。
?そもそも認知症なのか? 本部で実施している【成長プロジェクト《自立支援介護 WEB勉強会》】で認知症を学んでいるが、どの認知症の症状にも当てはまらない。「認知症ではないのでは?」と考え、うつ病の薬を取りやめる。


●体力測定の変化

平成30年12月15日 平成31年3月16日
Timed UP & GO 21秒(杖あり) 18秒(杖なし)
開眼片足立ち 25秒(杖あり) 20秒(杖あり)
握力 右:21.6? 左:17.6? 右:20.7? 左:18.6?
ファンクショナルリーチ 34.5? 34.5?
長座位体前屈 28? 23.5?
30秒間足踏み 16回 18回
利用時の変化 左膝の痛みで、歩行が不安定 短距離なら杖なし歩行が可能になる。笑顔が増える。
生活状況等の変化 外出機会がない。
気持ちが荒い。
家事をするようになる。
気持ちに余裕がある。


●考察

週2回のパワーリハビリと"自立支援介護の4つの基本ケア(水分・栄養・運動・排便)"を、基本に忠実に実施したところ、約半年で杖歩行から杖なしの自立歩行ができるようになった。

このご利用さまは、通所開始時に「認知症である」と伺っていたのだが、当事業所はリハプライド本部で毎月実施している【成長プロジェクト《自立支援介護 WEB勉強会》】に参加しており、そこで学んでいる認知症のどの症状にも当てはまらなかった。 ついては、「短期記憶の欠落など、引きこもっていたことが原因で脳が衰えたのではないか」と判断し、医師と相談して、うつ病の服薬を取りやめた。すると、ほどなくして、表情も明るくなり、笑顔も増え、家では家事もするようになって、気持ちにも余裕が出てきた。この減薬が、パワーリハビリおよび"自立支援介護の4つの基本ケア"に相乗効果をもたらしたのではないかと考えている。

まだまだ勉強不足であるが、本部主催の竹内孝仁先生(国際医療福祉大学大学院教授)も参加される【地方研修会】や、上記の【成長プロジェクト】等で学んだことを実践し、経過を観察して、直すべきところは直していきながら、今後ともご利用者さまの機能維持と改善に、日々取り組んでいきたいと思っている。      

(リハプライド 川崎)