改善事例

63歳/男性・要介護3 脳血管疾患

10年歩けなかった方が、約7カ月で杖歩行できるようになった!

●通所回数
・週2回利用(2019年4月より、週4回利用)
 個別機能訓練(歩行器・杖歩行による歩行訓練)
・整形外科※リハビリ(週3回利用)


●要介護の原因
くも膜下出血、脳出血、右中大脳動脈瘤破裂、脳梗塞


●この改善事例のポイント

  • 10年間歩けなかった車イスの方が、パワーリハビリと歩行訓練を通じて、マヒ側の足を少し動かせるようになった。
  • 歩行中に支えがなくても、マヒ側の足を前へ出せるようになり、自力で数メートルの杖歩行ができるようになった。

●通所する前は・・・
平成18年4月、くも膜下出血、脳出血、右中大脳動脈瘤破裂で倒れ、半年間入院(このとき右目を失明)。入院中に脳梗塞も発症する。退院後は、病院から紹介されたリハビリテーション病院へ1年弱通院し、その後、デイサービスへ3年、デイケアへ6年通所した。その間、ご家族も介助や外出、リハビリを手伝ったが、効果は見られなかった。

●通所後は・・・
ご利用者さまは10年間歩けず、車イスを利用していたが、約7カ月のパワーリハビリと歩行訓練を通じて、マヒ側の足を少し動かせるようになった。そして、歩行中に支えがなくても、マヒ側の足を前へ出せるようになり、自力で数メートルの杖歩行ができるようになった。また、歩くことができるようになるにつれて、表情も明るくなり、笑顔も増えてきた。


●課題およびケアプラン

課題 ケアプラン
水分量 水分量の増加 1日1500?目標
活動量 活動量の増加。
歩行の量を増やす。
デイサービスの利用回数を増やす。自宅でも歩行練習を増やす。
屋内歩行移動 車イスから、歩行器や杖へ移行する。 車イスをイスへ変更する。
5秒間のつかまり立ちテストを行い、2人介助から歩行器歩行の練習をする。歩行器歩行がスムーズにできるようになったら、4点杖を使用して、杖歩行の練習をする。
屋外歩行移動 車イスから、歩行器や杖へ移行する。 同上(まずは屋内歩行の安定を目指す)。


●パワーリハビリ実施状況

ローイング 2.5? 1セット → 5.0? 3セット
レッグプレス 10.0? 3セット
チェストプレス 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
ヒップアブダクション 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
トーソフレクション 2.5? 3セット
レッグエクステンション 2.5? 1セット → 3.5? 3セット
※下肢のマシンを行うときは、マヒ側の装具を外して実施する。
※上肢のマシンを行うときは、歩行用の装具を付け、歩行練習を兼ねてマシンまで歩いて移動する。


●体力測定の変化

平成30年6月10日 平成31年1月23日
Timed UP & GO 測定不可 測定不可
開眼片足立ち 測定不可 測定不可
握力 右:25.5? 右:26.9? 左:38.1?
ファンクショナルリーチ 測定不可 30cm
長座位体前屈 測定不可 21cm
30秒間足踏み 測定不可 6回(杖使用)
水分摂取量の変化 1000ml 1500ml
利用時の変化 マヒ側の足は、ほとんど自分では動かせない。 歩行中に支えがなくても、足を前へ出せるようになった。
生活状況等の変化 表情は暗め。
自信をなくしている様子。
普段の会話等からも笑顔が増え、通所を楽しんでいる。
体重も3キロ痩せた。


●考察
《歩行の運動学習理論 》

?車イスをイスに変更
?つかまり立ち:5秒
?歩行器移動
→
左記の3項目を忠実に行うことによって、10年間歩けなかった人でも、約7カ月で歩行能力が再び獲得された。

・ADLの基礎である歩行の練習を行うことにより、活動量が上がって、水分摂取量アップにつながった。

・歩行機能が改善することで、自信もつき、体力測定で実施できる項目が増えていった。表情が明るくなるなど、メンタル面での変化も見られた。


●今後の展望
・現在の杖歩行での数メートルの距離を、徐々に伸ばしていく。

・在宅でできることをさらに増やしていき、社会的な役割を持てるように支援していく。

・1日型の事業所であることの利点を活かし、自立支援介護を一人ひとり丁寧に実践していく。

(リハプライド 富里)