改善事例
車イス→3カ月後に歩行器使用→ 1年後には杖歩行が可能になった!
●要介護の原因
胆石(手術)、子宮筋腫(子宮卵巣摘出)、高血圧、慢性腎炎(週3回人工透析)、脊柱管狭窄症
●この改善事例のポイント
- ご本人が明確な目標を持ってパワーリハビリを行うと、行動変容を伴い、改善へと向かうことが改めて分かった。
- 「何のためにパワーリハビリを提供するのか」を常に考え、ご利用者さまに目標を設定していただき、その良きプランナーとなって、働き掛けていくことが大切であると再認識できた。
●通所する前は・・・
脊柱管狭窄症と診断され、主治医から「下肢筋力をつけるように」との指示があって、近隣のジムに通っていました。しかし、思うように成果が上がらず、腰から下肢にかけての痛みも強くなってきて、先の見えない生活を送っていました。そんな中、平成28年8月に、ケアマネジャーの勧めで、当事業所への通所を開始しました。
●通所してから・・・
通所当初は、特に右足の痛みが強く、車イスを利用していたため、TUGは測定できませんでした。しかし、2回目(3カ月後)のTUGは歩行器を使用して測定できるようになり、3回目(6カ月後)はシルバーカーで、そして1年後には杖歩行での測定ができるまでに改善しました。
●リハビリでの変化
平成28年11月10日 | 平成29年11月16日 | |
Timed UP & GO | 55.64秒(歩行器使用) | 20.3秒(杖使用) |
---|---|---|
開眼片足立ち | 0.71秒 | 4.47秒(杖なし) |
握力 | 右:16.1? 左:14.4? | 右:18.1? 左:15.8? |
ファンクショナルリーチ | 26.5cm(座位) | 17.5cm(立位) |
長座位体前屈 | 19.5cm | 24.5cm |
30秒間足踏み | 16回(手すり) | 29回(杖使用) |
水分撰取量の変化 | 100ml(事業所) ※透析による水分制限あり |
100ml(事業所) ※透析による水分制限あり |
メンタル面の変化 | 当初は、脊柱管狭窄症の痛みで立つことも苦痛だったが、3カ月経って、だいぶ痛みが緩和してきた。 | 脊柱管狭窄症の痛みで立つことも苦痛だったのだが、立てるようになった。 |
身体状況の変化 生活状況の変化 |
施設内は歩行器で移動。 ご自宅では、階段が上がれるようになり、2階の寝室で寝ることができるようになった。 |
足の痛みが少なくなって、立位を保てるようになり、杖歩行で移動ができるようになった。 |
●マシントレーニング
ローイング | 2.5? 3セット → 6.0? 3セット |
---|---|
レッグプレス | 10.0? 3セット → 15.0? 3セット |
チェストプレス | 2.5? 3セット → 6.0? 3セット |
ヒップアブダクション | 2.5? 3セット → 7.5? 3セット |
トーソフレクション | 2.5? 3セット → 6.5? 3セット |
レッグエクステンション | 2.5? 3セット → 7.5? 3セット |
●考察
平成27年5月に脊柱管狭窄症と診断され、主治医からの「下肢筋力をつけるように」という指示を受け、近隣のコンディショニングジムに通っていました。しかし、オーバーワークになっていたため、思うような効果はみられず、腰から下肢にかけての痛みを抱えた不安な日々を送っていました。
そうした中、平成28年8月に、ケアマネジャーの勧めで、当事業所への通所を開始しました。利用開始時の担当者会議では、第一目標として「自分の足で歩けるようになること」を掲げ、ご主人さまからは「年内に自立できるようにしてほしい」とのご要望がありました。
TUGの初回は、車イス利用のため測定できませんでしたが、2回目(3カ月後)の平成28年11月は歩行器を使用して測定できるようになり、3回目(6カ月後)はシルバーカーを使用しての測定、1年後の4回目以降は、杖歩行での測定ができるようになるなど、体力測定の回を追うごとに改善していきました。また、自宅では階段を上がれなかったので、介護ベッドを借りて1階に寝ていましたが、通所を開始して3カ月後には2階の寝室へ上がれるようになり、介護ベッドを返却しました。
「自分の足で歩けるようになる」という目標に向けて、パワーリハビリを続けたことで、身体機能がみるみる回復していき、約1年後には「卒業してコーヒーショップを開業する」という新たな目標を持たれるまでになって、実際に平成29年12月、リハプライドを卒業されました。
今回のように、ご本人が明確な目標を掲げてパワーリハビリを行うと、行動変容を伴い、改善へと向かうことが改めて分かりました。自立支援を目的としたパワーリハビリで重要なことは、心身が良くなった先のビジョンをご利用者さまにお伝えすることだと考えます。マシンを回すだけの作業になるのではなく、「何のためにパワーリハビリを提供するのか」を常に考え、目標設定ができない、あるいは先が見えないご利用者さまがいたら、その良きプランナーとなって、働き掛けていくことが大切だと再認識しました。
(リハプライド 栃木平柳)