改善事例

83歳/男性・要介護4 その他

水分摂取で尿意を感じるようになり、オムツを外すことができた!

●要介護の原因
心筋梗塞(H3年)、糖尿病(H22年6月)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(H27年3月)、心筋梗塞(H29年7月)


●この改善事例のポイント

  • 入院による筋力低下で歩行が困難な状況でも、パワーリハビリテーションにしっかり取り組んだ結果、歩行がスムーズになった。
  • 1日800mlだった水分摂取量を、3カ月で平均1500mlに増やしたところ、尿意を感じるようになり、オムツを外すことができた。

●入院してから(H29年7月?)・・・
平成26年7月より通所を開始しましたが、平成29年7月に心筋梗塞で2カ月入院し、この入院による筋力低下で歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まりました。室内で転倒し、奥さまが帰宅されるまで倒れたままということもあったそうです。また、入院中にオムツ内で排尿することを経験し、オムツが手放せなくなってしまいました。

●水分摂取量を増やしてから(H29年12月?)・・・
退院直後、1日の水分摂取量は800mlでしたが、目標水分摂取量を1800mlに設定し、3カ月で平均1500mlに増やしたところ、尿意を感じるようになって、オムツを外すことができました。また、水分摂取量が増えたことに加えて、パワーリハビリテーションもしっかり行った結果、血糖値も改善しました。


●リハビリでの変化

平成29年12月5日 平成30年3月1日
Timed UP & GO 歩行器(ウォーカーケイン)41.0秒 歩行器 30.0秒
開眼片足立ち 平行棒 54秒 平行棒 120秒
握力 右:13.6? 左:9.6? 右:12.8? 左:13.9?
ファンクショナルリーチ 20.5?(座位) 23?(座位)
長座位体前屈 13.0cm 12.0cm
30秒間足踏み 平行棒 12回 平行棒 16回
水分撰取量の変化 800ml 1500ml
主訴の変化 歩行が不安定で転倒あり。 歩行器やつかまり棒使用で転倒なし。
生活状況等の変化 オムツ内で排尿。オムツが手放せない。 水分量を増やしたことで、尿意を感じるようになり、オムツが外れた。


●マシントレーニング

ローイング 3.0? 1セット → 3セット
レッグプレス 7.5? 1セット → 3セット
チェストプレス 2.5? 1セット → 3セット
ヒップアブダクション 3.0? 1セット → 3セット
トーソフレクション 3.0? 1セット → 3セット
レッグエクステンション 3.5? 1セット → 3セット


●考察
退院後、体力低下が著しく、歩行が不安定になっており、また、入院中にオムツ内で排尿することを経験し、オムツが手放せなくなっていました。 「これらを何とか改善しよう」ということで、ご本人ならびにご家族(奥さま)の協力を得て、水分摂取とパワーリハビリテーション(以下、パワーリハビリ)に取り組みました。

まず、「尿意を感じて"我慢する""排尿する"をコントロールするには、水分摂取とパワーリハビリで、脳と体を活性化(覚醒)させなければいけません」というお話をさせていただきました。そして、ご自宅で水分摂取量の記録をつけてもらうために、事業所で作成した記録表と、計量カップを持参しました。水分量はご本人が使っているコップの200mlの位置を計量カップで確認し、水を注ぐ時はいつも200mlと決めました。

水分摂取のお声掛けをした平成29年11月の摂取量は、1日平均800mlでした。それが約3カ月後の平成30年3月には、1日平均1500mlになりました。その頃から尿意を感じるようになって、"我慢する""排尿する"のコントロールができるようになり、オムツを外すことに成功しました。 今では水分摂取量の記録ノートも工夫され、血圧・脈拍・排便記録もつけられています。

歩行については、パワーリハビリにしっかり取り組んだ結果、約3カ月でウォーカーケインから車輪付きの歩行器に変わり、現在、自宅では壁や家具につかまって、歩行器なしで生活できるまでになりました。 また、水分摂取量が増えるとともに、血糖値が下がっていったので、それが日々のパワーリハビリを行うモチベーションにもなったといいます。歩行時の足の運びもスムーズになり、表情もとても明るくなりました。

現在、当事業所には、115名のご利用者さまがいらっしゃいます。そのお一人おひとりに、それぞれ改善のご提案をできることが理想ですので、引き続き、ご利用者さまのQOL向上を目指しサポートしていきたいと思います。

(リハプライド 大垣ヒノキ)