改善事例

70歳/男性(要介護3) その他

パワーリハビリテーションにより短期間で機能回復した一例

●要介護の原因
胃潰瘍(胃全摘出)、亜急性連合性脊髄変性症、排尿障害(バルーンカテーテル装着)、巨赤芽球性貧血、高血圧症、糖尿病


●この改善事例のポイント

  • およそ10年間、寝たきりに近い生活をされていたが、週4回のパワーリハビリにより、通所1年で2本杖歩行から自立歩行ができるまでに改善した。
  • 通所当初はオムツを使用していたが、水分摂取とパワーリハビリで、3日に1回程度だった排便が1日おきになり、1年後にはオムツを外すことができた。

●リハビリを始める前・・・
15年前に脊髄変性症で下肢マヒとなり、排尿障害によってバルーンカテーテルを装着し、身体障害者2級の認定を受けました。家の中は伝い歩きで移動していましたが、排便をコントロールできないため(オムツ使用)閉じこもりがちになり、唯一の外出である通院は車イスを利用していました。

●リハビリを始めてから・・・
利用開始時は、事業所内を2本杖で歩行していました。そして、3カ月後には1本杖で移動できるようになり、1年後は自立歩行できるまでに改善しました。また1日平均:2250mlの水分摂取と週4回のパワーリハビリによって、3日に1回程度だった排便が1日おきになり、1年後にはオムツを外すことができました。


●リハビリでの変化

平成29年3月17日 平成30年2月19日
Timed UP & GO 29秒(2本杖使用) 17秒(杖なし)
開眼片足立ち 20秒(杖あり) 65秒(杖あり)
握力 右:19.0? 左:10.9? 右:24.0? 左:17.0?
ファンクショナルリーチ 31cm(座位) 9cm(立位)
長座位体前屈 17cm 34cm
30秒間足踏み 27回 34回
水分撰取量の変化 事業所:350ml
自宅:1900ml
事業所:350ml
自宅:1900ml
主訴の変化 右足に尖足(せんそく)がみられ、レッグプレスで踵(かかと)を付けることができなかった。 尖足がほぼ改善された。
生活状況等の変化 利用開始時は2本杖での歩行だった。便秘気味だが、3日に1回程度の周期的な排便はある。オムツ使用。 杖なしで施設内を移動できるようになった。排便が1日おきになり、オムツがとれた。


●マシントレーニング

ローイング 2.5? 3セット → 5.0? 3セット
レッグプレス 10.0? 3セット → 22.5? 3セット
チェストプレス 2.5? 3セット → 7.5? 3セット
ヒップアブダクション 2.5? 3セット → 7.5? 3セット
トーソフレクション 2.5? 3セット → 5.0? 3セット
レッグエクステンション 2.5? 3セット → 7.5? 3セット


●考察
障害者福祉サービスが終了したタイミングで、ご本人から「リハビリがしたい」という要望があり、リハプライドへの通所を開始しました。

およそ10年間、ほぼ寝たきりの生活を送っていたため、当初は右足に尖足(せんそく)がみられました。前方へ歩く時は、ご本人も意識して気を付けていましたが、横に移動する際にはよくつまずくので、スタッフも注意していました。またマシントレーニングの『レッグプレス』では、この尖足のために右足の踵(かかと)を台に付けることができませんでした。

TUGの初回は、2本杖を使用しましたが、パワーリハビリに週4回取り組んだことで、みるみる機能が回復し、3カ月後には1本杖で歩行できるようになり、1年後には事業所内を杖なしで移動(自立歩行)できるまでになりました。さらに、右足の尖足も改善して、『レッグプレス』の際に踵が浮かなくなったことで、パワーリハビリの効果もUPし、歩行がさらに安定してきました。

また、通所当初は、排便のコントロールができずオムツを使用していましたが、通所開始時から、事業所はもとよりご自宅でも水分摂取に留意し、事業所で350ml、ご自宅で1900ml、計2250mlを毎日摂取するように徹底しました。その結果、当初は3日に1回程度だった排便が、やがて1日おきになり、1年後にはオムツを外すことができました。 水分摂取量と運動(パワーリハビリ)が、排便コントロールに与える影響を、今回の事例で改めて確認することができ、ご利用者さまご自身にとって、オムツを外すことがどれほど嬉しいものなのかを、間近で感じることができました。

今後も、自立支援介護の4つの基本ケア【水分・栄養・運動・排便】によるアプローチを含め、パワーリハビリをしっかりとご提供することにより、各ご利用者さまの機能回復・改善に、引き続き取り組んで参りたいと思っています。

(リハプライド 栃木平柳)