改善事例

76歳/男性・要介護2 その他

退院直後からのパワーリハビリテーション

●要介護の原因
閉塞性動脈硬化症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、急性心筋梗塞、心不全、肝不全


●この改善事例のポイント

  • 退院してすぐに通所を始めたことにより、身体機能が早い段階で向上したのではないかと考える。
  • 無理のない軽い負荷でパワーリハビリテーションを行い、ご利用者さまも「これなら、できる」と意欲的になられたことで、より各部位の機能回復と向上が見られたと思われる。

●リハビリを始めたきっかけ
心不全と閉塞性動脈硬化症で入院、退院後は腰痛と歩行時に足のしびれがあり、杖を2本使用しないと歩けない状態でした。また、立ち上がる際にめまいやふらつきがあり、立位も不安定でした。
しかし、大好きな釣りにもう一度行きたいという思いから、体幹バランスの保持、上肢機能および下肢筋力の向上、立ち座り動作の向上と立位の安定を目標に、パワーリハビリテーション(以下、パワーリハビリ)を始めました。

●リハビリを始めてから・・・
全身の筋力の指針である握力とファンクショナルリーチの向上が見られました。バランス感覚ならびに姿勢や歩行の改善に伴って、2本の杖が不必要となり、TUGでは歩行時のスピードも倍になりました。杖が要らなくなったことで、日常の生活動作がスムーズになって、趣味に取り組む意欲も出てきました。


平成28年8月18日 平成28年10月19日
Timed UP & GO 22秒01(杖あり) 10秒36(杖なし)
開眼片足立ち 55秒(手すりあり) 60秒(手すりなし)
握力 右:22. 2? 左:19.6? 右:28. 2? 左:24. 3?
ファンクショナルリーチ 19.5? 27.5?
長座位体前屈 26.5? 27.5?
30秒間足踏み 22回(2分間88秒) 24回(2分間96秒)
水分撰取量の変化 水分制限あり400mL 水分制限あり400mL
主訴の変化 腰痛の訴えあり。
動いていなかった筋肉を動かした
ことによる筋肉痛。
腰痛なし。
以前のような筋肉痛もない。
生活状況等の変化 歩行は、常に杖が必要であった。 歩行に杖が不必要となった。


ローイング 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ
レッグプレス 7.5? 1セット ⇒ 2セットへ
チェストプレス 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ
ヒップアブダクション 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ
トーソフレクション 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ
レッグエクステンション 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ


●考察
退院してすぐに通所を始めたことにより、身体機能が早い段階で向上したのではないかと考えます。利用当初は、立ち上がり時にめまいやふらつきがあって、立位も不安定だったため、マシン誘導時やマシン実施時には注意が必要でした。精神的な不安もあり、足のしびれや痛みも強かったのですが、無理のない軽い負荷でパワーリハビリを行い、ご利用者さまも「これなら、できる」と意欲的になられたことから、各部位の機能回復と向上が顕著に見られたと思われます。

また、当初は、下剤を4錠飲んでいたのですが、定期的なパワーリハビリによって便通が改善し、下剤の服薬が半分以下に減りました。さらに、眠る前は睡眠剤を服用していたのですけど、今では服用することなく眠れるようになりました。これらは、パワーリハビリがもたらす薬理学的効果だと考えられます。

今回のご利用者さまを通して、心身の状態が不安定な方にもパワーリハビリが有効であることと、身体機能の向上や内面の変化について、改めて学ぶことができました。
今後も、各ご利用者さまに合わせた無理のないパワーリハビリを行い、自立支援介護の4つの基本ケア"水分摂取・排泄・食事・運動"を実践しながら、各ご利用者さまの夢や目標を共有し、それを達成できるように、スタッフ一同、一生懸命取り組んでいきたいと思います。

(リハプライド・鷲宮)