改善事例
退院直後からのパワーリハビリテーション
●要介護の原因
閉塞性動脈硬化症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、急性心筋梗塞、心不全、肝不全
●この改善事例のポイント
- 退院してすぐに通所を始めたことにより、身体機能が早い段階で向上したのではないかと考える。
- 無理のない軽い負荷でパワーリハビリテーションを行い、ご利用者さまも「これなら、できる」と意欲的になられたことで、より各部位の機能回復と向上が見られたと思われる。
●リハビリを始めたきっかけ
心不全と閉塞性動脈硬化症で入院、退院後は腰痛と歩行時に足のしびれがあり、杖を2本使用しないと歩けない状態でした。また、立ち上がる際にめまいやふらつきがあり、立位も不安定でした。
しかし、大好きな釣りにもう一度行きたいという思いから、体幹バランスの保持、上肢機能および下肢筋力の向上、立ち座り動作の向上と立位の安定を目標に、パワーリハビリテーション(以下、パワーリハビリ)を始めました。
●リハビリを始めてから・・・
全身の筋力の指針である握力とファンクショナルリーチの向上が見られました。バランス感覚ならびに姿勢や歩行の改善に伴って、2本の杖が不必要となり、TUGでは歩行時のスピードも倍になりました。杖が要らなくなったことで、日常の生活動作がスムーズになって、趣味に取り組む意欲も出てきました。
平成28年8月18日 | 平成28年10月19日 | |
Timed UP & GO | 22秒01(杖あり) | 10秒36(杖なし) |
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開眼片足立ち | 55秒(手すりあり) | 60秒(手すりなし) |
握力 | 右:22. 2? 左:19.6? | 右:28. 2? 左:24. 3? |
ファンクショナルリーチ | 19.5? | 27.5? |
長座位体前屈 | 26.5? | 27.5? |
30秒間足踏み | 22回(2分間88秒) | 24回(2分間96秒) |
水分撰取量の変化 | 水分制限あり400mL | 水分制限あり400mL |
主訴の変化 | 腰痛の訴えあり。 動いていなかった筋肉を動かした ことによる筋肉痛。 |
腰痛なし。 以前のような筋肉痛もない。 |
生活状況等の変化 | 歩行は、常に杖が必要であった。 | 歩行に杖が不必要となった。 |
ローイング | 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
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レッグプレス | 7.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
チェストプレス | 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
ヒップアブダクション | 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
トーソフレクション | 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
レッグエクステンション | 2.5? 1セット ⇒ 2セットへ |
●考察
退院してすぐに通所を始めたことにより、身体機能が早い段階で向上したのではないかと考えます。利用当初は、立ち上がり時にめまいやふらつきがあって、立位も不安定だったため、マシン誘導時やマシン実施時には注意が必要でした。精神的な不安もあり、足のしびれや痛みも強かったのですが、無理のない軽い負荷でパワーリハビリを行い、ご利用者さまも「これなら、できる」と意欲的になられたことから、各部位の機能回復と向上が顕著に見られたと思われます。
また、当初は、下剤を4錠飲んでいたのですが、定期的なパワーリハビリによって便通が改善し、下剤の服薬が半分以下に減りました。さらに、眠る前は睡眠剤を服用していたのですけど、今では服用することなく眠れるようになりました。これらは、パワーリハビリがもたらす薬理学的効果だと考えられます。
今回のご利用者さまを通して、心身の状態が不安定な方にもパワーリハビリが有効であることと、身体機能の向上や内面の変化について、改めて学ぶことができました。
今後も、各ご利用者さまに合わせた無理のないパワーリハビリを行い、自立支援介護の4つの基本ケア"水分摂取・排泄・食事・運動"を実践しながら、各ご利用者さまの夢や目標を共有し、それを達成できるように、スタッフ一同、一生懸命取り組んでいきたいと思います。
(リハプライド・鷲宮)