改善事例

85歳/男性・要支援1 その他

後期高齢者(男性)に対する パワーリハビリテーションにより、
行動変容をもたらした一例

●要介護の原因
変形性腰椎症(2012年)、高血圧(1970年)、こむら返り(2012年)


●この改善事例のポイント

  • 後期高齢者の男性に対し、パワーリハビリテーションを提供することで、身体機能の維持向上ならびに行動変容が見られた。
  • ご利用者さまが、パワーリハビリテーションの理論に興味を持たれ、スタッフの指導を誠実に受け止めるといった相互の信頼関係が、顕著な改善につながったものと考えられる。

●リハビリを始めたきっかけ
少しの段差でもつまずき、転ぶことが増えてきたのですが、認知症の妻の在宅介護をしていたため、 自身のサービス利用まで手が回りませんでした。昨夏、妻が施設入所した際、「もしこのまま自分が歩けなくなれば、妻の面会に行けなくなるかもしれない」という不安を感じました。
また、ビルトインガレージの2階家のため、日常生活で階段の上り下りが欠かせないのですけど 、初めの一歩で膝が抜けることもあり、転倒・転落の不安が日に日に強くなってきたことも、リハビリを始めるきっかけとなりました。

●リハビリを始めてから・・・
利用前は、転倒の不安が強かったため、ほとんど歩いていませんでしたが、今では、買い物に行ったり、近所を散歩したりしても、しっかりと歩けるようになりました。
階段の上り下りも楽になって、以前に参加していた地域の太極拳サークルにも、再び通えるようになりました。
入所中の妻の面会には、自分で車を運転して行っています。


平成28年8月10日 平成28年11月9日
Timed UP & GO 23.86秒 8.46秒
開眼片足立ち 6秒 31秒
握力 右:29.1 ? 左:21.1 ? 右:28.6 ? 左:22.4 ?
ファンクショナルリーチ 32.0? 立位 30.5? 立位
長座位体前屈 29.5? 28.5?
30秒間足踏み 27回 26回
水分撰取量の変化 250?520mL 170?255mL
主訴の変化 少しの段差でつまずき、転ぶことがあるので、不安を感じている。 階段の上り下りが楽になった。普段の生活でも、背筋が丸くならないように姿勢を意識している。
生活状況等の変化 最近は歩くのが大変で、ほとんど歩いていない。 買い物に行ったり、近所を歩いたりしても、しっかりと歩けるようになった。


ローイング 2.5? 1セット  ⇒  3セット
レッグプレス 10.0? 1セット  ⇒  3セット
チェストプレス 2.5? 1セット ⇒ 上腕三頭筋の痛みがあり、休止中
ヒップアブダクション 2.5? 1セット  ⇒  3セット
トーソフレクション 2.5? 1セット  ⇒  3セット
レッグエクステンション 2.5? 1セット  ⇒  3セット


●考察
TUGは、3カ月でタイムが約15秒縮まっています。利用開始時に比べて、立ち上がりや歩行速度も速くなっており、歩行時の姿勢も良くなって、歩幅の広がりも見られます。 
30秒間足踏みについては、回数はほとんど変わりませんが、初回利用時に比べて"足の上がり方"が良くなりました。

また、パワーリハビリテーションの理論に興味を持たれており、ご利用中にも積極的に質問されてきます。疑問が効果を伴って解消されることで、さらにパワーリハビリテーションに対して真摯に取り組まれています。

通所中の水分摂取は、日によって差がありますけど、"自立支援介護"における水分摂取の必要性を理解しており、最近ではご利用中に300?500mlの水分を摂取しています。

「運動しなくてはならない」という義務感や、ある種の強迫観念、または一般的な筋力トレーニングのイメージからなのか、ご利用者さまの中には、強い負荷や激しい運動を望む場合があります。
しかしながら、そのようなケースでは、ご本人の意に反して、状態が良くならなかったり、安定しないことが多く見られます。やはり、パワーリハビリテーションは基本に則って、正しく継続して行うことが大切だと改めて認識しました。

(リハプライド 前橋広瀬)