改善事例
廃用性症候群の改善により車イスから杖歩行へ
●要介護の原因
廃用性症候群、乳癌、頸椎手術(髄液補填)
●この改善事例のポイント
- 廃用性症候群による筋萎縮で歩行が困難な状況でも、パワーリハビリテーションを正しく継続して行うことで、歩行可能となることが改めて分かった。
- 正しいマシントレーニングを行うことで表れてくる、ちょっとした変化(機能面)を認めることにより、通所が楽しくなり、考え方が変わり、行動が変わり、確実に結果がついてくることも認識できた。
●リハビリを始めたきっかけ
廃用性症候群により、歩行が不安定で転倒のリスクが強く、自宅内で転倒したら、自力では起き上がれない状態でした。また、独居のため、通院や買い物に不便を来たしており、車の昇降や歩行時には介助を必要としていました。これらの課題を少しでも解決したいという思いで、当初の車イス状態から、歩行器を使っての歩行、そして杖歩行ができるようになることを目標にリハビリを始めました。
●リハビリを始めてから・・・
通所当初は、歩くことへの自信喪失から、ネガティブな発言が多く見られ、歩ける人をうらやむ発言もありました。しかし、3カ月目を迎える頃より、他のご利用者さまからも刺激をもらい、「私も負けてはいられない」と前向きな発言も多くなって、自ら「セット数を増やしてほしい」など、リハビリにも積極性が出てきました。
●リハビリでの変化?
平成27年9月2日 | 平成27年12月14日 | |
Timed UP & GO | 2分15秒(歩行器) | 46秒(歩行器) |
---|---|---|
開眼片足立ち | 23秒(杖) | 28秒(杖) |
握力 | 右:10.5? 左:8.4? | 右:13.1? 左:8.4? |
ファンクショナルリーチ | 8? | 15? |
長座位体前屈 | 12.5? | 12? |
30秒間足踏み | 実施不能 | 22回(手すり有) |
水分撰取量の変化 | 486ml | 319ml |
主訴の変化 | 立位と歩行が困難なため、外出時は 車イスを利用。転倒すると自分では 起き上がれない。 |
車への移乗、歩行器での歩行が安定してきた。 |
●リハビリでの変化?
平成27年9月2日 | 平成28年9月8日 | |
Timed UP & GO | 2分15秒(歩行器) | 21.81秒(杖) |
---|---|---|
開眼片足立ち | 23秒(杖) | 28秒(杖) |
握力 | 右:10.5? 左:8.4? | 右:13.9? 左:8.4? |
ファンクショナルリーチ | 8? | 15? |
長座位体前屈 | 12.5? | 12? |
30秒間足踏み | 実施不能 | 22回(杖へ変更) |
水分撰取量の変化 | 486ml | 400ml |
主訴の変化 | 立位と歩行が困難なため、外出時は 車イスを利用。転倒すると自分では 起き上がれない。 |
腰痛や手の痺れの訴えあり。 医者からは運動して筋肉をつけるように言われたとのこと(手術の結果が出ていないが、加齢のためと言われた・・・)。 |
●考察
期間中、手足のしびれを取り除くために、頸椎の手術を実施し、1カ月余りのお休み(3?4月)がありましたけど、病院でのリハビリもあって、大きな機能低下もなく、トレーニングを継続しました。
9カ月目を迎える頃から、薄化粧をし、オシャレをして通所するといった変化(行動変容)が見られました。機能訓練では、杖歩行にチャレンジするなど積極的な姿勢を示し、TUGが杖で実施可能になりました。また、30秒間足踏みも杖でできるようになりました。
廃用性症候群による筋萎縮で、歩行が困難な状況でも、パワーリハビリテーションを正しく継続して行うことにより、歩行可能となることが改めて分かりました。
正しいマシントレーニングを行うことで表れてくる、ちょっとした変化(機能面)を認めることで、通所が楽しくなり、考え方が変わり、行動が変わり、確実に結果がついてくることも認識できました。
本事例では、杖歩行を安全に行うことができ、一人で近所の散歩ができるようになることを目標にして、今後ともサポートを継続し、最終的には杖なし歩行を目指していきたいと思います。
(リハプライド 広島不動院前)