メディア情報
「介護ビジョン」2022年11月号
十人十色の自立支援 vol.08
筆者が全国各地で自立支援に取り組む介護事業者等を訪問し、その狙いやポイントを紹介する本連載。
第八回目はリハコンテンツ株式会社を紹介する。
パワーリハを提供し
“機能回復の実現”をサポート
リハビリ型デイサービスを全国で展開
リハコンテンツ株式会社は、2009年に合同会社リハコンテンツとしてスタート。2010年に株式会社に改組後も、一貫してリハビリ型デイサービスの普及をめざし、直営・フランチャイズによる店舗展開を進めている。
創業者で代表取締役社長の山下哲司氏は大学で経営学を学んだのち、国際医療福祉大学大学院で介護福祉・ケアマネジメント学の博士号を取得。また、日本マクドナルドの藤田田氏からフランチャイズビジネスを直接学んだ。現在、全国でFC展開する「リハプライド」は2022年3月現在、直営店18店舗、FC加盟店184店舗と合わせて200店舗を突破し、我が国のトップランナーとして走り続けている。
「パワーリハビリテーション」で日常生活に必要な筋肉を刺激
リハビリは、第一ステージ(急性期)、第二ステージ(回復期)と第三ステージの維持期・慢性期に分けられる。同社は維持期・慢性期のリハを必要としている人たちに対し、通所で半日もしくは1日の「パワーリハビリテーション(パワーリハ)」を提供する(図表)。リハビリ利用によりQOLを改善し、運動機能の回復を通じて自立した生活と楽しく前向きな気持ちを取り戻してもらい、充実した人生を送ってもらえることに職員一同やり甲斐を感じて仕事に励んでいる。日本では、第一、第二ステージでかなり症状が改善し、せっかく機能が回復しかかっても、第三ステージの維持期において運動機能を維持することが困難なケースが多く、“寝たきり大国”ともいえる。その数は米国の8倍、スウェーデンの10倍に上るともいわれる。
維持期に最適なリハビリ・プログラムを提供するのが同社のパワーリハで、座る・立つ・歩くといった生活基本動作に必要な筋肉に軽い刺激を与えるのが特徴だ。筋肉を鍛えるものではなく、正しいポジショニングで軽い負荷をかけ、繰り返し同じ動作を行うことにより、動かなくなった筋肉(不活動筋)を再び活動筋へ戻すことをめざす。これにより利用者は”痛くない、疲れない、楽しい”リハビリが行えるとともに、廃用症候群などの改善、予防に効果を発揮する。
パワーリハ用にドイツ生まれの専用メディカルトレーニングマシン(独の医療規格に適合)6台を導入している。準備運動として、全身の筋肉をほぐし、身体を温めることを目的にみんなの体操*を行う。整理運動として行う座位の太極拳は、パワーリハ後の呼吸や血液循環を常態に戻し、筋肉の疲労を残さないように複数の筋肉を動かし、リラックスすることが目的だ。
*みんなの体操:1999年9月にNHKと郵政省簡易保険局(当時)が一般公募などから制定した一般向けの体操
パワーリハは自宅で個人で行っても効果は薄い。通所して集団でコミュニケーションや情報交換を行いながら、助け合いの心をもって実践するほうが効果は大きいそうだ。
リハプライドでは、高齢でさまざまな疾病を抱える要介護高齢者にとって安全で無駄なく継続できるプログラムを提供している。機能訓練指導員には医療的な対応もできる看護師を配置している。
パワーリハの提唱者で我が国の指導の第一人者として名高い国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁元教授の指導を受けており、老化や器質的障害により低下した身体的、心理的機能の向上を図り、楽しく楽なトレーニングで以前のような自立した生活を獲得することで、前向きな気持ちを取り戻していることがデータでも明らかになっている。
この3年あまり、新型コロナ感染症の第1波から第3波にかけて多少デイサービスの利用者は落ち込んだが、それを除けば、コロナ感染を恐れるよりもリハビリの大切さが浸透したからか、リハプライドの利用者は増え続けており、売上は好調に推移している。
誇りをもってサービスを届け、高齢者にプライドを届ける
リハプライドのブランドコンセプトは「人生の先輩へ、リハビリと誇りを」。“誇りをもってサービスを届ける”“高齢者の皆さまにプライドを届ける”というこの理念のもと、現場では職員が毎月一堂に会し、データを持ち寄って学び合い、レベルの維持・向上に努めている。
介護保険を使って送迎もある通いやすいデイサービスを提供し、医学的なエビデンスにも支えられた4つの基本ケア(水分・栄養・運動・排泄)を用いた自立支援介護を合わせて行うことで、顕著な自立介護の改善成果を実現している。
フランチャイズに参加する事業者は医療・介護関係のみならず、建設や土木、不動産、小売りなど異業種や未経験の方も増えつつある。
野口哲英
株式会社日本医療経営研究所 代表取締役
メドックスグループ代表/一般社団法人日本医療・介護経営支援機構 代表/
一般社団法人全国介護事業者連盟 直前理事長/一般社団法人日本認知症改革推進協会 理事長