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「Franchise Age」2016年1月号

「Franchise Age」2016年1月号

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「リハビリ」に特化したアプローチで、
独自の地位を築いている
デイサービスFCチェーン。

リハコンテンツ株式会社
デイサービス業界で、「リハビリ」に特化した事業を展開し、成長を続けているリハコンテンツ。千葉県船橋市に本部を置き、2014年10月にJFAの正会員になった同社を訪ねた。

 新京成線と東葉高速線(地下鉄東西線直通)が乗り入れる北習志野駅。そこから徒歩約3分の商店街の一角にリハコンテンツが入居するビルがある。1階入口のインターフォンで訪問を告げるとドアが開錠され、社内に入るようになっている。
 1階エントランスの壁には研修後の食事会の楽しそうな写真が飾られ、その反対側にはパート社員のものと推測される「ママチャリ」が10数台置かれているなど、家族的な温かみのある空間になっている。
事務所は2階と3階にあり、パート・アルバイト含めおよそ230名の従業員が在籍している。

高齢者の自立支援を目的とした「リハビリ型デイサービス」。

 同社は、高齢者の自立支援を目的とした「リハビリ型デイサービス」のFCチェーンだ。食事やレクリエーションなどのサービスが主の従来のデイサービスとは異なり、「要支援1」から「要介護5」の方が、運動機能の回復を目指して、リハビリ専門の機器とプログラムを利用したリハビリ運動に特化しているのが大きな特徴だ。
 設立は2009年。本社からほど近い山下哲司社長の自宅の一室からスタートした。今もこの地に本社を置いているのはそのためだ。
 当初はある企業と共同で「LET's倶楽部」というブランド名でFC事業を行っていたが、その後、共同事業を解消。2014年秋にブランド名を「リハプライド」に変え、現在に至っている。
 店舗数は、全国33都道府県に直営15店、FC130店。オーナー数は126名(2015年11月現在)。
 FC店を担当するSVは9名。一人あたり20店舗程度を受け持ち、ほぼ1.5ヵ月に1回の頻度で訪店。施設長(店長)への運営支援などを行っている。
 3階には研修センターがあり、店舗にあるものと同じ機器と、浴室、トイレが設置されており、実技研修ができるようになっている。取材に訪れた日は、開店を2016年1月に控えた新規加盟店の皆さんが受講中で、真剣な表情で講師の話を聞いていた。

30坪の店舗に6台のリハビリ機器。

 近隣にある店舗(半日型デイサービス)を見学させていただいた。
 広さは約30坪。そこに6台のリハビリの機器が設置され、施設長1名とスタッフ5名程で運営している。
 利用者は午前と午後合わせて1日平均34名。男性、女性半々くらいで、リハビリ機器を相手に、スタッフと話しながら楽しんでいるという印象だ。
 ちなみに利用者の負担は、介護保険が適用されるため概ね1割。半日コースで約500円、1日コースでも約1,000円。週に2回、半日コースに通って月に4,000円程と、手軽に利用できるのも魅力になっている。
利用者の定員はおよそ15~35名で、その稼働率を高めるのが利益を上げるポイントになる。同社の収益モデル(1日平均26名利用)によれば、稼働率85%で売上は(月26日営業として)年間約4,024万円で、販管費を除いた営業利益は1,392万円となっている。
 「例えば20名の定員を維持するためには、およそ130名の会員が必要です。そのためには、施設長が中心となって、地域で外交活動(PRや見学案内等)を行い、ケアマネージャーさん達とのネットワーク作りが非常に重要になってきます」
 こう話すのは山下社長だ。
 山下社長は、開店前の内覧会や開店後に施設長と会うが、その印象によっては、施設長の交代をオーナーに提案することもあるという。
 「意識や考え方、雰囲気など、ちょっと違和感がある人がいる。そういう施設長の店舗は、やはりご会員数も増えていませんので、オーナーに、人事刷新のご提案をしています。交替していただいたところ、すぐに店舗の評判が良くなり、会員数も増えていきました。こうした例は決して少なくありません」

フィットネスクラブに近い感覚!?

 また、デイサービスには、なかなか人が集まらず、常に人手不足というイメージがあるが、同社の場合、応募者が多く、採用が滞って開店が遅れたというケースは皆無と山下社長は話す。
 「介護というと、お風呂や食事のお世話というイメージがあり、敬遠される方もいると思いますが、我々はリハビリですので、どちらかというとフィットネスクラブやスポーツジムに近い業種で、しかも資格が不要。これから成長する業界ということもあって、多くの方からご応募をいただいております」

500グラム単位での負荷調節。

 ところで、リハビリ機器自体は一見、通常のフィットネスクラブのそれに見えるのだが、じつは500グラム単位で負荷を調節できるようになっている。同社が取り入れている“パワーリハビリテーション”理論は、「軽い負荷の運動を繰り返して行う」ことが特徴である。
 無理のない負荷を繰り返すことで、「ちょっと頑張ってみよう」というモチベーションが生まれやすいのかもしれない。その分、心と体の回復・改善も早く進むのではないだろうか。
 ちなみに、同社のリハビリ機器はパワーリハビリテーションの考案者である竹内孝仁医学博士(国際医療福祉大学大学院教授)が監修。厳格な安全基準を設けているドイツで医療機器として承認を受けており、医学的根拠に基づいている。あの人気プロ野球元監督やサッカー元日本代表監督も同じ機器をリハビリに使用しているのは有名だ。

立地に左右されず、特別な資格も必要なく開業可能。

 同社のビジネスモデルの特徴は、店舗運営に必要な経費は初期費用と賃料、人件費程度であることと、利用者を送迎するサービスのため、駅からの距離や交通の便など、立地に左右されず、物件の賃貸費用なども抑えやすいということだ。
 また「紹介による集客」が中心のため、広告費用がかからないことや、特別な資格も知識も必要なく開業できるということも大きい。
 それに加えて現在、リハビリ型デイサービスを行っている企業はほとんどなく、同社のほぼ独占状態にある。そのため、同社のFCに対する加盟希望者の関心も高く、説明会も月平均5回、全国各地で行っている程。
 「実際に、建築業や土木業、映画館の経営者など、さまざまな企業のオーナーが、新規事業として開業しています。将来の本業に不安を抱いているオーナーが、まだ本業が順調なうちに、次の柱となる事業として、これから有望な市場であり、社会にも貢献できる当社の事業を選んでくださる方が多いですね」(山下社長)

2025年には21兆円市場に。

 高齢者人口の増加に伴い、介護の市場規模は、現在の9兆円から、2025年には21兆円にまで拡大すると見られている(厚生労働省予測)。
 現在、デイサービスの事業所(店舗)は全国に4万2,000ヵ所。利用者は約200万人に迫る。これが2025年には、デイサービスの利用者が301万人と、およそ1.5倍に増えると予測されている。単純計算でデイサービス事業所も6万3,000ヵ所は必要になる。それだけ、同社は非常に高いポテンシャルを持っていると言えるだろう。

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社内を案内された時、行く先々で社員の皆さんが立ち上がって笑顔で挨拶をしてくれた。1階エントランスのあのほのぼのとした雰囲気と同様、人に優しい家族的な社風を感じた。設立わずか6年でこうした文化を醸成できたのは、山下社長のこれまでの半生と無関係ではあるまい。同社であれば、安心して、親(と私自身)を託すことができるようだ。

2025年2,000店舗を目標に
FCで成長の輪を
広げていく!

ー2025年には65歳以上の高齢者が人口の3分の1を占めると言われている中、デイサービスは成長が見込まれる分野ですが、従来のデイサービスと異なる一番のポイントは何でしょうか?

山下社長 従来のデイサービスは、食事やレクリエーションが主ですが、当社は体の機能を回復・改善させるリハビリに特化したサービスを提供しています。
 リハコンテンツのパワーリハビリテーションプログラムは、当社の顧問でもある竹内孝仁医学博士(国際医療福祉大学大学院教授)が考案したもので、きちんとした医学的エビデンスがあるプログラムです。それは、専用のメディカルマシンを著名なスポーツ関係者が使用して劇的に改善していることからも証明されています。高齢者のリハビリプログラムとしては、我々の右に出るものはないと自負しています。

ー利用者は、今後も増えていくと…?

山下社長 これからも増えていくと考えています。
 マクロな見方で申し上げますと、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設に入所して介護保険を使っている方はそれ程増えていませんが、自宅で生活しながら、我々のようなデイサービスの事業所で介護保険を使っている方は年々増えているんです。
 それは財政の問題で、特別養護老人ホームやグループホームでの介護保険料が、在宅での介護保険料の2倍以上の負担になっているため、行政が「介護はできるだけ自宅で」という考えがあるからです。事実、10年程前からは特別養護老人ホームやグループホームの新規申請を受け付けなくなっている地域もあります。デイサービスや訪問介護の事業所の利用者は、今後ますます増えていくと考えています。

ー今後の目標は?

山下社長 リハコンテンツは、半日型デイサービスと、食事もお風呂も提供する1日型デイサービスを展開していますが、両方合わせて2025年に2,000店舗を数値目標にしています。
 現在、デイサービスを行っている事業所は全国に約4万2,000ヵ所あり、デイサービスを利用されている方が約200万人です。それが10年後、2025年には301万人がデイサービスを利用すると推計されています。
 そうすると、単純計算でおよそ1.5倍に増える訳ですから、デイサービスの事業所もその分増えていく。仮に6万ヵ所とすると、そのうちの2,000ヵ所ですから、市場占有率はそれ程高くないので、非常に現実的な数だと思っています。

ーそのためにもFC展開は欠かせませんね?

山下社長 もちろんです。我々と理念を共有し、一緒に社会に貢献しながら成長していく、その輪をしっかり広げていきたいと思っています。

ーありがとうございました。