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「Franchise Age」2023年11月号

「Franchise Age」2023年11月号

1号店ストーリー
介護を改善するデイサービス「リハプライド」の展開で飛躍する
リハコンテンツ(株)

2010年1号店を千葉県船橋市習志野台にオープン。
2023年9月現在、事業所は200を超えるなどリハビリ型デイサービスの草分け的存在として全国に広がるリハコンテンツの「1号店ストーリー」をご紹介します。

Episode 27・・・・・・ リハコンテンツ株式会社

再チャレンジから始まる成長へのプロローグ

 リハコンテンツ(株)代表取締役社長山下哲司氏は、香川県高松市に生まれ、大学進学を機に上京。大学卒業後、当時日本マクドナルドを経営していた藤田商店に就職し順調なスタートを切ります。
 そして、29歳のときに起業。ここから「凪」だった人生から「時化(しけ)」の人生へと転換します。
 起業した会社は約3年で事実上倒産。その後、再び会社員生活を始めることになります。しかし、会社員を続けながらも「起業家精神」の種火は消えず、心の奥に「もう一度チャンスを」と考えていた山下氏に、2005年の理学療法士との出会いで転機が訪れます。

 2005年に理学療法士の方がデイサービスでリハビリを提供する事業でフランチャイズ展開をしたいがなかなかうまくいかないということを相談されて。私は新卒で入社した藤田商店や転職した会社でフランチャイズのノウハウを持っていたので、フランチャイズという観点であれば何かお手伝いできるのではないかということでサポートしました。(山下氏)

 理学療法士が展開するフランチャイズチェーンをサポートしながら、山下氏はあることに気づきます。理学療法士や作業療法士にとってリハビリは「専門職ありき」と考えがちで視野が狭い。きちんとエビデンスがあり、回復が見込める理論やプログラムがあれば、経営という観点を含めて素人のほうがうまくいくのではないか、と。また、現在リハコンテンツの特別顧問をしている竹内先生の理論と出会い、山下氏のイメージはより具体的になり、再び、起業ヘチャレンジすることを決意します。

 一度失敗をしていることから家族に心配をかけたくなかったので、とても悩みました。自分の中で千回以上、後悔しないかと自問自答し続けました。その結果、やはりチャレンジしたいと2009年、2回目の起業をしました。(山下氏)

 自宅の一室で起業し「デイサービスをリハビリ施設にして運営する」というテーマの有料セミナーを開催。セミナーを続ける中、複数の参加者から同じ時期、同じエリアで3施設のプロデュースを依頼されます。そして、山下氏は、これまでの経験と理論を実践し、3施設とも思い描いていた事業計画で立ち上げ、軌道に乗せました。
 それを機に2010年、ある企業と業務提携し、共同事業としてリハビリ型デイサービス事業所のフランチャイズ展開を開始。直営店1号店を千葉県船橋市習志野台にオープン。2014年、新しいブランド「リハプライド」の運営をスタートさせます。

経営者と大学院生の二足のわらじで理論と実践を学ぶ

 順調にフランチャイズ展開を進める山下氏。しかし、ずっと頭から離れないことがありました。それは、確固とした理論と実践の確立です。
 実際に運営していると、「リハプライド」に通ってくる高齢者の方々の劇的な回復を目の当たりにします。そして、そのたびに、より確かなリハビリ理論とエビデンスの確立のため、自立支援介護学の生みの親でもある竹内孝仁医学博士から直接指導を仰ぎたいという想いが募っていったのです。
 とはいえ、意気盛んに竹内先生にアポイントメントを取ろうとしても門前払いの連続。それでもめげずに、何度も竹内先生に連絡をした結果、ようやく、会えることになったのです。

 山下さんと初めて会ったときの印象は、体育会系でやる気だけのどこか粗削りで大丈夫かなと思いました。その後何度も顧問になってほしいと熱心に言ってきたので、しかたなく時期を限定して引き受けました。FCのオーナーの前でも厳しく指導する私に臆することなく学び続けて、経営しながら博士号を取得できたのは粘り強さからだったと思います。山下さんの博士論文は、超高齢社会において人間の尊厳を大切にケアできているか、という社会の関心の高い良い論文だと思います。(竹内氏)

 山下氏は竹内先生と師弟関係を結び、リハコンテンツの経営者でありながらも国際医療福祉大学大学院に通うという二足のわらじを履きます。そして、竹内先生の厳しくもあたたかい指導のなか、自立支援介護学を学び修士課程を終えます。さらに、博士号取得を目指し学び続け、2022年、博士号の学位を取得しました。
 なぜ、山下氏はそこまでして学ぶのか・・・それは、リハコンテンツを立ち上げる前に感じた「理論やエビデンスがあれば、素人でもできる」という想いに繋がっているかもしれません。そして、経営者として実務に携わり、学生として博士号の論文の執筆を進めながら山下氏は改めて自分の仕事に誇りと意義を感じました。

 介護しているだけでは回復へのハードルは上がります。しかし、リハビリを続けることで自立し、自分で生活の動きが可能になります。「自分でできる」という喜びはきっと高齢者の方々にとって若い世代には分からないほど大きいと思います。論文を書きながらなぜ竹内先生が厳しく、自立支援介護学にこだわっていたのか深く理解できました。(山下氏)

 長寿国でありながら、寝たきりの高齢者率が高い日本。そんな状況を憂い、民間の活力でリハビリ型デイサービスを全国に拡大した、リハコンテンツ。2023年には200店を突破し、飛躍を続けています。1号店は現在も稼働し、多くの利用者がマシンを使い、前向きな気持ちでリハビリを行っています。
そんな1号店の裏手に、ぽつんとプレハブの建物が残っています。現在は、倉庫になっていますが、このプレハブこそ、飛躍を支えた1号店の開業時に事務所として使っていた場所です。