リハプライド・コラム

自立支援介護では、特に"水分摂取"が大切なのです!

自立支援介護では、特に

【自立支援介護の4つの基本ケア】である"水分・栄養(食事)・運動・排便"は、
それぞれ強く影響し合っています。
水分が不足すると体は動かなくなり、食欲を失って、便秘を引き起こします。
また水分不足のまま歩行練習をしても成果は上がりません。
つまり、4つの基本ケアの中で"水分"は特に大切な要素なのです。

体に必要な1日の水分摂取量

さて、私たちの体には1日どれだけの水分が必要なのでしょうか。
人間は生きて体温を維持するためだけに、
700~1000mlの水分を汗や呼気として排出しています(これを不感蒸泄といいます)。
この他に、健康な成人で尿量が1日1500ml前後、
便にも水分が200~300ml含まれるので、
総水分排出量は計2400~2800mlということになります。
体内水分バランスは、
水分の排出量と摂取量が同じであることにより保たれています。
ですので、体に必要な1日の総水分摂取量は、
計2400~2800mlということになります。

ただし、人間は毎日の食事で700~1000mlの水分を摂っており、
また体内の細胞でエネルギー代謝を行う際の代謝水が200~300ml生成されます。
つまり、純粋に飲料水で補給しなければならない水分量は、
体に必要な総水分摂取量である1日:計2400~2800mlから上記を引いた、
「1日:1500ml」ということになります。

体のわずか1~2%の水分が不足しただけで、意識障害が起こる

一般の成人は、体の約60%が水分ですけど、
65歳以上の高齢者は、水分量が50%くらいになると言われています。
つまり、体重50㎏の高齢者であれば、
体内の水分量は約半分の25㎏(25ℓ)ということです。

そして、この内のわずか1~2%の水分、
…コップ1杯から500mlのペットボトル1本程度の量の水分が不足しただけで、
意識障害が起こってしまいます。
これは軽い熱中症のような状態なのですが、
さらに2~3%不足すれば発熱や循環機能に影響がおよび、
5%の不足で運動機能が低下、7%で幻覚などが出現して、
10%欠乏すると死に至ってしまいます。
つまり、水分摂取は、
高齢者だけでなく人間にとっても非常に重要なことなのです。

“寝る前のコップ1杯の水分補給” が大切!

また、日中、水分をこまめに摂取することも大切なのですが、
特に高齢者の方は、寝る前にも適度な水分補給が必要です。
睡眠時、私たちは意外なほどたくさんの汗をかいています。
そのため水分を補給していないと、血液中の水分量が減り、
血液はドロドロになってしまうのです。
寝る前の水分補給の不足が、朝方の起き抜けに、
突発的な脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす原因になります。
そのような発作を予防するためにも、
“寝る前のコップ1杯の水分補給”が大切になってくるのです。

なぜ、十分な水分摂取で “オムツ” が外せるのか?

このような話をしますと、
「おしっこに行く回数が増えるから嫌だ」
「夜中にトイレに行くと、眠れなくなる」
といった心配をされる方もいらっしゃいます。
ですが、水分を十分に摂取すると、
血管を通して体中の細胞に水分が行き渡り、
脳の神経細胞も活性化します。
すると、意識の覚醒水準が上がって、認知力も向上するため、
尿意や便意のコントロールが、以前のようにうまくできるようになるのです。
その結果、失禁が少なくなり、
なんと“オムツ”が欠かせなかった要介護者から“オムツ”が外せるようになるという、
思わぬ効果につながるのです。

以上、【自立支援介護の4つの基本ケア】のうち、
“水分”がいかに大切であるか、お分かりいただけたでしょうか。